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ことりんのスマイル

ことりんのスマイル

初めての転移

「初めての転移」




なんだかんだぐずぐずと甘んじていたラジエーションも当初の予定通り5週合計45Gyをこなし、11月12日最終照射の日の午前中、MRI検査が行われる。
午前中は面会時間外なのだけど、私は早めに家を出て直接MR室の方に様子を見に。
するとちょうど検査が終わってしまったところ。
鎮静がまだ効いていた為、午後の予定だった最後の照射をついでにやってしまう。
これで、放射線治療終了。
治療を終えた事の達成感や安堵感を感じる反面、持ち駒を使ってしまったという追い詰められた気持ちも同時に覚える。
病棟への帰り道、若手のM先生に「MR、大丈夫でしたよねぇ?」と何の気なしに聞くと、「D先生が後で話してくれますよ。」と言われた。

その日の夕方、D先生のムンテラ。

結果は、側脳室の左右にひとつずつ、脳室壁に沿ってポツンと出来た転移巣。
正直、寝耳に水。
確かに上衣腫は、脳脊髄液を介して播種転移し易い腫瘍であるし、OPEなどの刺激で転移を誘発してしまう事もある。
でも、まさか…。
OPEの刺激なの?それとも全脳照射をしていれば防げたの?じゃなければ感染やらでchemoに早急にとりかかる事が出来なかったせい?
OPEが間違い?照射の決断ミス?chemoは無理してでもやるべきだった?
そのどれが原因かなんてもちろん分からなければ今ここで原因を突き詰めても仕方ないのに、自分が間違っていたんではないだろうかと、頭がクラクラしてくる。
Dr.は今の状態になんの治療が最良なのか、もう少しDr.全員で考えさせて欲しいと言い、後日またムンテラし直しに。

その後D先生から、現状では転移巣に「ガンマナイフ照射」を行う事が1番良いのでは、と提案をされる。
ガンマナイフは確かに周囲の正常細胞への影響は最低限に防ぐことが出来、まして琴音の現在の転移巣は、脳室壁に接しているものの側脳室の部屋の中、いうなれば水の中にポツンと浮いている状態で、脳実質に出来た腫瘍と比べ、周囲に損傷を懸念しなくてはならない部位は少ない。
腫瘍の大きさもまだ小さくガンマナイフの適応条件「3cm以内」を十分にクリアしている。
怪我の功名というか、ガンマナイフの適応にドンピシャリな条件が揃っているわけだ。

ガンマナイフは気になっていたし、転移を知った放射線科の未来のダンナさんも、ガンマナイフはいいのでは?と、参考になるようにガンマナイフ協会のサイトをメールで教えてくれたりした(教えてくれた時は既に自分でリサーチ済みだったけどwでも感謝)。私も自分でいくらか調べてはいたけれど、確かにこの転移巣を叩くには最良だと、Dr.と同意見。
けれど、ガンマナイフ自体が極めてまだ歴史の浅い治療で、症例が少ない上に小児への施術例はほとんどない。
そういう意味では、本当に適応になり得るのかはガンマナイフ治療に明るいDr.の診断が必要。

その上、ガンマナイフ設置病院は当時全国でも40件程度しかなく、こども病院には設置されていない。
1番近所に設備があるのは、というか千葉県内では「千葉県循環器病センター」が唯一の設置病院。
そこにはガンマナイフ外来もあり、ガンマナイフを専門に扱う脳外科のDr.もいらっしゃるので、D先生の口利きでひとまずそのガンマナイフの先生にお会いして画像を見てもらい、実際本当に適応になるのかを診断して頂くことに。
翌週19日火曜日にアポが取れた。

この頃から先日の化学療法の骨髄抑制がやってきた。
初発時のchemoの時は、問題になってくる数値はPlate(血小板)位だったが、ICE療法に変えた今回はWBC(ワイセ・白血球)の方もかなり減少傾向に。
D先生はよく「WBCは2000あればフツーに生きてけるから」と言っていたけれど、13日は1600、14日は1500、16日には700と順調(?)に減少。
初めて琴音のベッドにアイソレーター(感染防止の為、空気を清浄する)がつけられた。
が、その後なかなかWBCが上がってこない…800前後をうろうろ。

そうこうしている間に火曜日になり、私は循環器病センターへ。
ガンマナイフ外来のS先生は、悪い感じの人ではないけど…S先生に「今回の局所照射っていう選択は、勝負に負けちゃった訳だけど…(略)」と言われ、正直その瞬間はムッときた。
確かに…自分で自分を責めているドンピシャな部分をいとも簡単に口に出され、図星だから腹が立つのかな?
腹が立つというのも語弊があって、見たくなかった物見せられた気分、というか…。
いや、まぁその発言以外は何も嫌な思いをする事はなかったですが?

それはさておき、ガンマナイフは適応になるという診断に。
しかも9割の確率で腫瘍消失するだろうと太鼓判。
日程は12月2日予定に決定。
ただ、循環器病センターでは現時点の症例で最年少が7歳だか、だそうで、
琴音はこの病院内では最年少になると…。
それから照射の時に「レクセルフレーム」という目盛の入った座標軸のような物を頭に装着しないとならないのだけど、これが頭部にピンを刺して固定する為、子供の場合は全身麻酔下で行わないと痛みに耐えられないらしい。
で、全身麻酔を行うにはWBCの値が最低でも1000はないと麻酔科の方で安全が保障できないという。

なので、治療を行う為の条件は「治療日までにWBCを1000以上に上げる事」。
あとは、月曜日に行われる治療の準備として、金曜日に循環器病センターに入院手続きを済ませて諸検査を受け、その後は外泊扱いにしてもいいけど日曜夜には病院に入り月曜は治療後1泊する、が約束。
つまり、一度こども病院を退院手続きして、治療が終わったら翌日こども病院に戻って入院手続きをし直さなくてはならないらしい。
意外と面倒なんだなぁと思いつつ、入院予約をして帰る。


WBCはその後もしばらく上がらなかったけど、ガンマナイフ治療1週間前にやっと1800まで回復した。良かった。




ちなみにこの頃リアルタイムでUPしていた日記はこちらこちらこちら



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